捨ててあったW124!

知り合いの家の庭先にW124 300Eが止めてある。
かなり以前から気になっていた124だ。
124の300Eなんて珍しくもなんともないBenzだ。
タイヤはパンクして潰れており、車体にはうっすらとコケのようなものが付いている。
そして、いつ見ても同じ場所から動かした形跡がまったく無い。
だが、何となく気になる! 筆者にこの124が何かを訴え掛けているように思える!

この知り合いに車の素性を聞いたところ、2年位前までは3日に一度くらいのペースで乗ってはいたが、ある朝運転しようと車を見たらエンジンルームの下に大量のオイルがこぼれており、ディーラーの営業マンを呼んで見させたら、「もう廃車にしてあげた方が良いですよ!」って言われたそうだ!
その後、廃車するのもめんどくさくなり、車検が切れたまま放置状態が続き現在に至ったそうである。

車をよく見たところ、内装はまだまだOK! ボンネットを開けてエンジンルームをのぞき込んだが、汚れすぎていて良くは分からん!
良くみるとアンダーカバーの上に砂と泥が少し溜まっており、草が生えていた!

続いて、車をジャッキで少し上げて下回りを見たところ、オイルパンにベットリとオイルが漏れた形跡がある! その他の箇所にもオイルが付いてはいたが、滲んでいる程度なのか大量に漏れている状態なのか判別は付かない。
なんせ、
2年くらい放置のままなので滲んだオイル痕に砂や泥が付着していて、そこら中が汚れている!
だが、全体的にはオイルパン以外はそんなに重症ではなさそうである。(この判断が後々この車に膨大な金額を投入していく事になる)
どうやら大量のオイル漏れは、オイルパンからの漏れが最大の原因であるような気がする。

この家のガレージから埃をかぶって、缶の表面に少し錆が浮いているオイル缶を見つけた! 蓋を開けた形跡は無い!

この家のオーナーは自分で車を整備するような人ではないのに、何故オイル缶があるのか不思議である! 何故と聞いたところ、ホームセンターに奥さんの買い物に付きあった時、暇なので何となく買ってしまって、そのまま忘れてガレージに放置していたらしい!
何年前のものかも記憶に無く、不明だと言っている!

余談だが、この家のガレージは、余裕で大型外車4台を駐車出来る広さがある!
そこにJAGUAR1台のみ鎮座しており、他のスペースは物置状態になっている。
ガレージの中を物色すると、見たことが無い珍品がいろいろ置いてある!
このオーナーもそれをいつ買って、何に使う物かも忘れてしまっているようだ!

話はもどるが、この何年前の物か不明なオイルを124に入れてみて、どこからどれだけのオイルが漏れているのか!?エンジンがかかるかどうか!? とりあえず試したくなってきた!
オイルを入れ、しばらく様子を見たがオイルは漏れて来ない!
更にバッテリーをJAGUARからジャンピングし、セルを回す事数分後…
な、なんとボコボコと音を立てながら、エンジンが始動したではないか!
ハッキリ言って、この時は変な感動を覚えたのを今でも記憶している!

この瞬間、貧乏性な筆者の脳裏に悪魔が・・・「まだ使えるぞ! もらって帰れ!」と囁いた!

この知り合いに「これ、クレッ!」と言ったところ、二つ返事で「是非もって帰ってくれ!」と言われて、はれて我が家にこの124が来る事となった。

とは言ってもこの状態では動かす事は不可能! とりあえず町に出かけ、外車が修理で入庫しているような修理工場を探したところ、15分位で見つけることが出来た。
書き忘れたが、ここは青森県である。

ボロイ修理工場で、オヤジと息子が二人で営んでいる小さな工場だ。
まあ、こんなもんだろうと、この工場に124を取りに来てもらう事に決めた!
翌日、修理工場から車を引き取りに来た時に、124を良くみたら昨日入れたオイルが全部漏れ流れていた!

とりあえず今回は、なるべく金をかけずに家に持ち帰ってから時間をかけて、徐々に整備すれば良いと思っていたので、修理内容は殆ど整備みたいなもので、ボディーのコケ落とし・ブレーキ、足回りの点検・ショックの交換(今回、ショックには中古のV8 R129用のショックを入れてみた)・アライメント調整・タイヤ交換・そして問題のオイルパンからのオイル漏れ修理だけをたのんだ。

一週間後、W124が自走して修理工場から戻ってきた!

ここから約700キロ自走して帰れるだろうか!? 工場のオヤジさんに聞いたら、「やめたほうがいい! 責任はもてん!」 と言われたが、この知り合いから「大丈夫、大丈夫、オイルが漏れるまでは元気に走り回っていたから大丈夫! なんせ、車がおベンツ様だから700キロなんて問題ない!」と後押しをされて、700キロ走破にチャレンジする事にした!

さあ、出発だ!

東北自動車道に入り、アクセルを徐々に踏み込んで行ったが、問題なくメーター読みで200キロをマークする! ハンドリングも安定感があり、直進性も問題ない! 高速コーナーでも、なかなか良い走りをする! だが、R129用のショックがW124 300Eの純正サスに対し勝ちすぎているようで、路面状態によっては車体が暴れるような挙動が所々で起きる!マッチングがイマイチのようだ。
スピードはメーター読みで、いったい何キロまで出るのか試したくなり、長い直線で全開をしてみた! なんと、針が220キロを指している!
廃車同然になっていた車が少し整備をしただけで、こんな走りをしてくれるとは思いもよらなかった!
おベンツ様ってやっぱり凄い車なんだね!

そんなこんなではあったが、無事に横浜までたどり着いた!
このオンボロ124のことが、何となく可愛くなってきた!
今後は時間をかけながらゆっくり整備をしてあげて、大事に永く乗ってやることにした。

 

Back


Copyright(c) Benz Cafe 2003
All Rights Reserved.